knqyf263's blog

自分のためのメモとして残しておくためのブログ。

自分でやるべき(ように思える)ことを得意な誰かに任せるという考え方

完全なるポエムです。自分にとって斬新な考え方だったので思わず勢いで書いていますが、知っている人からすると当たり前ですし、冷静に読み返すとだから何だよという内容に仕上がっています。読んだあとにだから何だよと言われても責任は取れません。

はじめに

以前、苦手分野を思い切って捨てて得意分野に集中してみるという話を書かせていただきました。 engineer-lab.findy-code.io

今回も通ずるところはあるのですが、一歩踏み込んで自分の気の進まないことはいっそ得意な誰かに任せようという話です。一歩引いた視点で見れば上のブログの話も結局誰かが自分の穴を埋めてくれているので同じに見えると思うのですが、自分の気の持ちようとしては大きく異なるので書いています。つまり、これ苦手だけど一生懸命やってるので許してくれ〜〜という考えなのか、苦手だし誰かにお願いしちゃおう!!という考えなのかの違いです。

また似たようなブログ書いてこいつ嫌なことからしょっちゅう逃げてんなと思われそうですが、弱点の多い人間なので仕方ないです。今回の記事も上記の記事同様、あくまで自分には適した考え方であって「誰かに任せるべきではない、自分で克服するべきだ」という考えも否定はしませんので、そう思われる方はそっと閉じてください。

全て自分で何とかしなければならないという固定観念を持っていて、自分がやるべき(ように思える)ことを他人に任せるという発想があまりなかった人にとっては少し面白い話かもしれません。

一方で役割分担しなければスケールしないんだからチームを作る上ではそんなこと当たり前と思う方もいそうですが、今回話したいのは "自分でやるのが当たり前と思われていること" でも他人に任せられるかもしれないという点です。例えばソフトウェアエンジニア(以下エンジニア)はブログを書いたり対外発表したりというアウトプットが求められることがあるわけですが、それらも自分でやる必要はないかもしれないというのが記事の趣旨です。もちろんアウトプットに限った話ではないです。

あと上のブログとのもう一つの違いは、 "苦手ではないけどあまり乗り気ではないこと" も他人に任せられるものに含む点です。自分にとっての社外発表はそんな感じです。声をかけてもらえば喜んでするけれど自ら積極的にはしないという位置付けです。

とある方の話

4年ほど前に千葉方面で学生のサイバーセキュリティ(以下セキュリティ)に関するレポートを審査する機会を頂きました。セキュリティ上の問題を指摘するレポートだったわけですが、主催者からは指摘内容だけでなくレポートの構成なども評価して欲しいと事前に言われていたため、最後の学生の前でのフィードバックの時に「レポートはもっと読み手に伝わるように〜」とか「レポートを書くまでが仕事なので〜」などとコメントをしました。

そうしたら別の審査員の方が「他人が見つけられないセキュリティの問題を見つけられるようになれば、レポートなんか誰か別の人が書いてくれるようになる」と言い放ちました。この時、「うんうん。そうだぞ〜」みたいな顔をしてましたが、レポートは自分で書いて当たり前と思っていた自分にとって衝撃的だったのをよく覚えています。主催者の意向完全無視のコメント!!と思う一方で、かっこよすぎるなと思いました。それが良いことかは別として若者に違った視点を与えられる大人になりたいものです。ちなみに審査員全員がそんな事言いだすとカオスになるので常識的なことを言う人も必要です。

それから4年以上経って、なるほどこういうことかと感じることが増えてきたので事例を書いておきます。自分が成長したからというよりは海外の企業で働いているからというのが大きそうですが、この考え方を持っておくといつか組織で裁量を与えられた時に役立つかもしれません。自分にはそもそもこの発想がなかったので、知らずに選べないのと選択肢として知っているのに選ばないのでは大きく異なるかなと思います。

他人に任せる

以前、以下の記事の中で ”得意な形でアウトプットできる” というのをOSSエンジニアの利点として挙げた一方で、やはりある程度 ”宣伝は必要” という部分にも触れました。

knqyf263.hatenablog.com

この時は登壇などは乗り気じゃなくてもOSSとしてソースコードをアウトプットしておけばそれ以外の社外活動はある程度で良いという考えだったのですが、ここ1年でさらに一歩進んで社外活動は誰かがやってくれれば良いという考え方に変わりました。

記事執筆

InfoWorldという有名な技術系の海外メディアがあるのですが、こちらに記事を書かせていただきました。

www.infoworld.com

書いた、と言いましたが実は自分は一文字も書いていません。記者の方からの取材があったのですが自分はほんの少し話しただけで(英語分からない問題)大体マネージャが答えてましたし、それを文字起こししたあとのレビューも弊社マーケティングチームの人がほとんどやってくれました。

いくつか間違いがあったので自分も最終チェックは参加してそのあたりの指摘は丁寧にやりましたが、自分が0から英語で書く時間に比べたら圧倒的に短時間で済みました。プロモーション関連の仕事はマーケティングチームの仕事であり、開発者が時間を割くべきではないという意識を強く感じました。

社外発表

自分の所属しているOSSチームにDeveloper Advocateの方が入ることになりました。Googleなどだとかなり昔からあるようです。

blog.agektmr.com

テクニカルエバンジェリストと基本的に同じだと思いますが、上のブログだと微妙に異なる意味もあるようです。自分の聞いた話では、エバンジェリストは宗教観の強い言葉なので避ける企業が増えてきたとのことでした。

そんな昔からある概念に対してお前は何を今更驚いているんだと思われるかもしれませんが、自分にとってAdvocateというのはもっと大きい単位の啓蒙活動だと思っていたからです。例えば上の例でGoogle Chromeなどは開発者が凄い数いるはずで、一人ひとりが発表するよりはまとめ役として伝道師が必要になるのは理解できますし、サイボウズで見つけたDeveloper Advocateの募集もkintoneという自社製品の技術的な情報発信という位置付けでした。

cybozu.co.jp

一方で弊社はベンチャーなので人数も少ないですし、OSSチームなのでそこまでリソースも投入できません。開発しているOSSも複数あるため1人で複数プロジェクト見るみたいな状況です。一方でOSSは宣伝効果も期待して投資しているわけなので社外発表も必要です。ですが正直うちのチームメンバーはそこまで発表に乗り気ではなく後回しになりがちでした。「困った。どうする?」となった時に普通は「頑張って各人の発表を増やしましょう」となると思うのですが、そうはならずに「じゃあ専属の人を雇いましょう」となりました。

Google等の例と規模が違うだけで同じと言ってしまえば多分そうなのですが、自分がほぼ個人で開発しているものの成果発表を他人に任せられるというのはやはり自分にはない考えで衝撃的でした。上のツイートにもぶら下げたようにどちらが良いとは言えませんが、選択肢として頭の片隅に置いておくと良いなと思いました。

今の会社に日本人は自分一人なので日本語発表は強制的に自分になりますが、日本語での発表はそんなに辛くないのでやはり負担は大きく軽減されます。

社内発表

以前どこかで書いた気がするのですが、本記事の内容に合っているので改めて書いておきます。入社直後のある日、社内に向けた資料を作成するタスクが発生したので当然のように自分でやっていました。そうしたらマーケティングチームの人に「何でお前がパワポを作ってるんだ。お前の仕事はプログラムを書くことだ。パワポ作成は得意な自分たちがやる。」と言われました。自分の常識から大きく外れる内容だったことと英語だったこともあって意味が分からず何度も聞き返したのですが、ようやく理解したあとは大変驚きました。

先日日立のジョブ型雇用が話題になっていましたが、職務内容での雇用が徹底されているため専門じゃないことに時間を割くのは会社の損失という考え方なのだと思います。

www.nikkei.com

上の例でもOSSエンジニアは発表を専門として雇ったわけじゃないのだから、発表を専門とした人を雇おうという考え方です。これは良い話に見えますが、逆に言うと「お前はこれだけやれ」と言われているわけで「パワポも好きだから作りたいのに!」という人には機会損失なので一長一短ではあります。

ただ実際には資料作成もやりたいと言えばやらせてもらえますし、メリットのほうが大きいように感じます。

マネージメント

アウトプットとは関係ないですが、同じ考え方なので書いておきます。

OSSチームの人数が増えてきたのでグループに昇格して個別にチームを作ることになりました。そこで自分はマネージャを軽く打診されたのですが、Noと言いました。他のメンバーも全員Noと言ったようで、「じゃあマネージメントを専門とした人を雇おう」ということになりました。そもそもエンジニアリングとマネジメントは別のスキルだしね、ということで特に揉めることもなく話は終わりました。

エンジニアからマネージャに移るのは個人のキャリアとして全然良いことだと思いますが、全く別物なので0から学び直しになるはずです。せっかく捕まえた優秀なエンジニアをマネージャにするよりは専門の人を雇おうと考える方が会社としては合理的だなと個人的には感じます。

まとめ

開発の時間が全然足りずもっと自分のリソースをそこに割り振りたいという状態だったので、開発以外の仕事がどんどん削ぎ落とされていくのは本当にありがたいですし驚きがあったので書きました。

ちなみに社外発表はPythonにやらせようというタイトルにしようか悩みましたが思いっきり人力だし意味不明なのでやめました。